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番外編③ はじめてのWデート①

작가: 緋村燐
last update 최신 업데이트: 2025-06-15 17:31:12

「Wデート?」

 いつもの週末。

 いつものように紅夜の部屋に泊まりに来ていた私の言葉に、彼は目を丸くして聞き返してくる。

「うん。なんか日葵がやってみたかったって言ってて……デイズパークランドに行かない? って聞かれたの」

 後ろから紅夜の腕の中に閉じ込められる形で一緒に座っていた私は、今日学校で日葵に渡されたパンフレットを手に持ちながら説明した。

「……デイズパークランド、ね」

 私の手からパンフレットを引き抜いた紅夜は考えるようにつぶやく。

 デイズパークランドとはここから電車で一時間ほど行った場所にあるアミューズメントパークだ。

《毎日を楽しく》がテーマで、世界各国の楽しそうなお話をモチーフにしたアトラクションがたくさんある。

 ちなみにテーマカラーが赤だから、スタッフの制服はみんな赤が基準。

 イメージキャラクターは犬のロルフとヘルディンだ。

「私も二回くらいしか行ったことないけど結構有名なところだよ? 知ってる?」

 黎華街から出たことがない紅夜は行ったことはないだろう。

 でも、テレビを見ていればCMなどで何度か見たことくらいはあるはずだと思って聞く。

「知ってる……けど」

 答えた紅夜は何故かスッと目を細める。

 冷たい印象を与える青い瞳は、そうすると少し怖かった。

「紅夜?」

 でも私はその瞳が熱を持つ瞬間を知っている。

 冷ややかな青い瞳の奥には、とても深い情があるのをもう知っていた。

 だから必要以上に怖がらず、問い返す。

「その二回って、誰と行ったんだ?」

「へ? えっと、最初は小学生のころに家族で行って。二回目は中学の時友達とかな?」

 怖そうな目をして、何が聞きたいんだろうと不思議に思いながらも聞かれたことに答える。
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